みさき ②

どうも怪奇現象の一種みさきですಠ_ಠ

今回も前回同様、私個人の恋愛観についてのお話を続けせて頂こうと思います。全く興味がないという方もいらっしゃるとは思いますが「風俗店キャストの恋愛観」のサンプルの一つとして読んで頂けたら幸いです。私から吐ける内容もストックがなくなってきてしまいましたので、何か閃くまではこれにてご容赦下さい。

前回の内容ではただひたすらに私の情け無さについてご説明をしました。己の無力さや脆弱さというものはただただやり切れず情け無いもので、そんな男には愛情を示す資格さえないということが、どうやらこの世の真理であるらしい事を知りました。「同情するなら金をくれ」という文言は非常に痛快な真実であり、精神論だけでは現実は何一つ変えられないのです。そんな私がたどり着いた先には憎悪がございました。自己憐憫から脱する為に復讐の道を選びました。彼女の悲運の全てはこの世界が悪いのだと、己の弱卒を責任転嫁したのです。多くの人は彼女の自己責任だと言いました。どんな状況に陥ろうとそれは全て本人の責任でしかないのだから、お前が何かを憎むことはないと私を諭しました。しかし私はただか弱いだけの人間に罪があるとはどうしても思えませんでした。もしそれを認めてしまえば私は、自分自身が私の大嫌いな人間になってしまうようで、当時はそんな恐怖感と無駄に戦っておりました。

犯人

私は復讐だけに寄り添って生きていました。股から血を流し目を赤くして帰る彼女にただ謝る事しかできず、男に馬鹿にされ陵辱され玩具にされ続ける彼女を何よりも大切に思ってしまう私は、復讐によって己の情け無さを紛らわせておりました。そんな私に彼女は突然別れを切り出しました。今思えば当然のことです。二人でいる間は嘆いて落ち込んでばかりで、ふらっと何処かへ出掛ければ自作の拷問具などに血をつけてくるような気狂いとは、誰も一緒になどいたくないでしょう。どう見ても馬鹿げた日々でしたが、その時の私はそうする事が正しいと信じておりました。

彼女は、私のせいであなたをおかしくしてしまったと言って自らを責めていました。しかしそうではないと言い聞かせました。私は以前から人も人が作ったこの世の中も大嫌いだったのだから、きっと遅かれ早かれこうなっていた。それをはっきりと気づかせてくれた君には、ただただ感謝していると伝えました。しかしそれは伝わりませんでした。彼女は死んでしまいました。私のせいであなたの未来を奪ってしまってごめんなさいと、そんな置き手紙を残して、彼女は世界から消えました。

その時の私にはもう何もわかりませんでした。わからないという言葉以外には何も思い付きませんでした。私が隣でただ笑っていたなら、笑って彼女を抱きしめられたなら、きっと彼女は生きていたでしょう。しかし私は、ずっと何かに虐められている彼女の横で、ちゃんと笑う事などできませんでした。いつも悲しくて悔しくて、毎日泣き崩れそうな自分を律するのに手一杯で、彼女を抱きしめる時も、こんな事しかできない己が情けなくて許せなくて、だからその何かを憎み続けました。そんな私の言動は何もかもが間違いでした。何故ならそれらの言動のせいで、彼女は死んでしまいました。彼女は私が殺したのです。わかった事はそれだけでした。同時に私は心底気持ちの悪い事実に気がつきました。彼女の死を知った時、私はどこかホッとしていたのです。私は復讐に生きる事から解放された事実に安堵してしまったのです。これほど自分に失望する事はありませんでした。決して許してはいけないものは、この世の中でもなければ男共でもなければもちろん彼女の弱さでもなく、この私であるという事が、その瞬間にはっきりとわかりました。私はもう駄目でした。それまでの全てもこれからの全ても、そこで終わったのだと思います。彼女が案じた未来などは、少しも欲しくありませんでした。

羽根の無い虫

一から十まで全てを間違え、守りたい人さえ殺した私は、当然自らも殺そうと思いました。人生を諦める絶望ならばもう十分に頂きました。もう何を望む気力もなく、生きたいとはまるで思えませんでした。しかし私は今生きています。あれから十年以上が経ちましたが、未だにみっともなく生き長らえています。その理由はいくつかありますが、この命が抹消的で下らないものであるという事には違いありません。その上私が見す見す殺した命は彼女だけではありません。同じような過ちを繰り返し、人も沢山傷つけて、それでも尚ここに生きています。何も成せず何も掴めずそのまま彷徨い続ける私は、ただ人を崖から突き落とす為に生まれてきたのかもしれません。私が私を許せる日などは生涯訪れないでしょう。もしも私に殺意が向けられるなら、私はいつでも感謝とナイフを差し出すと思います。

勝手に愛などをほざいて、勝手に復讐に塗れて、そうして私は元いた場所に帰れなくなってしまいましたが、この様な事例はこの世の中で決して珍しい事ではないと思います。歌舞伎町などを歩いていますと、如何にも悲劇の引き金のような女性とよくすれ違い、その度に己の無力さを思い出します。重力というのは残酷なもので、高く登る事は非常に困難なのにも関わらず、転落はいとも簡単で、気付けばいつの間にか地の底です。落ちる経緯は私と違えど、同じように底へ落ちた人間は少なからず存在するでしょう。この世界は誰もが希望に溢れている訳ではありません。未来に何を願うこともなく、希望なんてうんざりだと思いながらも、生きなければならない人間もいるのです。そしてそうした人間には、そうした人間なりの幸せがあるのだと思います。それは他人から見たらみっともなくて薄汚くて、その上卑怯なものかもしれません。しかし何かを食べなければ歩き続ける事ができないのと同じように、どんな無様な形であれ、生きる為には喜びが必要不可欠なのです。

ラブ アンド ピース

ここでようやく私の恋愛観についてお話しさせて頂こうと思います。私にとって恋愛というものは何を置いても避けるべきものです。それは決して私に扱える代物ではないからです。私にとって愛の囁きとは殺人の決意表明でしかありません。うっかりそれを囁いてしまえば私はあなた以外の全てを、またはあなた自身を殺す事になってしまうでしょう。そんなのはもううんざりです。愛は平和の対義語です。私の中では既にそう結論付けられています。これは恋愛観とは言えないかもしれませんが、私にも生きる上での喜びがあります。それは仕事をする事です。塾の生徒たちを明るい方へ送り出す事もそうですが、こちらの仕事も私の大きな喜びの一つです。あなたはまだ這い上がれる、もし這い上がれないのだとしてもあなたの下には私がいる。あなた一人が孤独ではない。だから大丈夫。あなたはまだ大丈夫だと、そんな思いを抱きながら、お客様と一緒に出掛けたり、その肌に触れ舌を這わせる事で、私は今の自分に価値を見つける事ができます。底に落ちた人間にもそれなりの使い道やポジションがあり、それを享受する事が私にとっての幸せなのです。

よくお客様から感謝の言葉を頂くことがありますが、私はいつも畏れ多く思い、こちらこそだと思っております。私のような罪人にいつも価値を与えて下さって、本当に本当にありがとうございます。

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この記事を書いた人

Misaki
Misaki

ヒメゴト東京在籍のセラピスト。
SMバーやハプバーでの勤務経験やSMショーに出演した経験を活かして色々とやっている。
人間の欲望と教育が好き。
髪の毛が長いことがロックンロールだと思っている。